1. ホーム
  2. NEBuilderクローニングコンテスト結果発表
image
   

NEBuilder クローニングコンテストへの沢山のご応募、ありがとうございました。

厳正な審査の結果、入賞内容が決定しましたので、ここに発表します。

2023 年 6 月 5 日:実例集配布中!お申込みはこちらから


image
     
image 東京工業大学 4 種類の様々なサイズの DNA を高効率でアッセンブルして簡単に Cas9 の mRNA 合成用プラスミドを構築
立花 和則  
image 東京理科大学 動物培養細胞発現プラスミドへの 4 カ所同時の部位特異的変異導入を PCR 産物を混ぜてインキュベートするだけで達成
橋本 研志  
image Y 大学 1 本鎖 DNA のアッセンブルによりレンチウイルス用 shRNA 発現ベクターを作成、通常 1 週間程の工程を半分程度まで削減
Mknot  
     
image 近畿大学 変異導入しつつ 3 断片をアッセンブルして変異プロモーターを作成、学部生でも簡単にクローニング
BIO  
image 名古屋大学 相同配列の長さを工夫して、制限酵素の選択がシビアな系でも簡略にゼブラフィッシュ組換えプラスミドを作成
Lida  
image 徳島大学 プライマー設計を工夫して少ないプライマー種類で高効率に 12 コンストラクトを作成
中村 まみ  
image 国立がん研究センター

2 種類の人工遺伝子由来断片から 2 重特異性抗体コンストラクトを作成、確認コロニーのすべてがポジティブクローン

安西 高廣  
image O大学 高 GC や長い遺伝子を簡単にクローニングして遺伝子レスキュー効果を検証、テクニカルサポートを大きく活用
HidenoriK  
image K大学 エントリークローンの必要なく短時間で 3 断片からコンストラクトを作成、植物での表現系を見るまでの時間を大幅に削減
植物気孔研究者  
image 名古屋大学 シームレスにアッセンブル、その産物を形質転換せずに直接 PCR して無細胞タンパク質合成の鋳型を作成
加藤 晃代  
image 東京電機大学 アッセンブル面の制限サイトを柔軟に設計、のりしろのエラーなくタンパク質発現プラスミドを構築
高橋 俊介  
image 東京医科歯科大学

ベクターと 3 断片をアッセンブル、シームレスかつ目的のアミノ酸配列になるように標的遺伝子の内部に蛍光タンパク質を挿入

佐藤 啓介  
image 広島大学 GC リッチかつリピートがある遺伝子を 2 つに分けて PCR、それらとベクターの繋ぎ目に一切の傷を残さず完全長をクローニング

シロイヌナズナで

ブーケトス  

 
 

【審査総評】

我々 NEB として初めてのコンテストであり、どれだけ応募していただけるか正直なところ不安もありました。実際は 60 件ものご応募をいただき、しかも一件一件のご応募に皆様からの NEBuilder に対する熱い思いが込められており、賞の選定には大変頭を悩ませました。「こんな使い方もできるのか!」とメーカー側も驚くような数多くのアッセンブルやアプリケーションをお寄せいただき、我々としても大変参考になりました。ご応募いただいた内容をまとめたアプリケーション集を 4 月以降に発行予定ですので、そちらもぜひご期待ください。

   
   

【ご応募いただいた皆様へのお知らせ】

参加賞並びに各賞のプレゼントは3月中旬~下旬を予定しています。今しばらくお待ちください。

   
   
image
 
NEB 賞の aki 様からは 3 つのクローニング実例を寄せていただきました。以下にそれぞれを公開いたします 。どれも NEBuilder の性能を発揮した内容であり、さらにより成功率を高めるためのヒントも書かれていますので、是非ご参考ください。
 
image
【アッセンブル / クローニング 内容】
目的タンパク質の発現ベクターに GFP の Open reading frame (ORF) を挿入しました(図 1)。発現ベクター内の目的タンパク質 ORF の直後にある NotI で切断して、GFP ORF の PCR 産物を挿入しました。このとき、ORF の stop コドンをなくし、目的タンパク質と GFP が繋がるようにプライマーを設計しました。
   
 
 アッセンブルした DNA

 8 kb ベクター+0.7 kb DNA

 ベクターの調製方法  NotI で切断、ゲル精製
 インサートの調製方法  PCR
 相同配列の長さ  15 bp
 プライマー設計

 SnapGene(完成予想図から設計)

 *末端を削除してシームレスになるように設計

 DNA 量  約 2.5 ng : 約 1 ng
 反応条件  50 ℃、30 分
 コンピテントセル  自作の DH5α
   
【アプリケーション】
GFPを融合させた目的タンパク質を培養細胞に発現させることで、その局在を調べました。
   
【工夫した点や想いなど】

不必要な配列を除去できることが、NEBuilder の最大の強みだと考えています。この性能は、本件のように stop コドンを無くしたり、あるいは変異させた遺伝子を作ったりするのに非常に有用です。従来のプロトコルでは、NEBuilder の 反応系は total 20μl だと思いますが、少なくても問題なく動きます。コツは DNA をいかに綺麗に切断し、精製するかだと思います。

   

image 

   
image
【アッセンブル / クローニング 内容】
薬剤耐性遺伝子の発現ベクターに目的遺伝子のゲノム領域を挿入し、ターゲティングベクターを作製しました(図 2)。EcoRI で薬剤耐性遺伝子の両端を切断後、目的遺伝子のゲノム領域(arm 配列)の PCR 産物と混ぜて NEBuilder の反応をおこないました。
   
 
 アッセンブルした DNA

 3.5 kb ベクター+ 0.4 kb DNA + 0.9 kb DNA + 0.4 kb DNA

 ベクターの調製方法  EcoRI で切断、ゲル精製
 インサートの調製方法  PCR
 相同配列の長さ  17 bp
 プライマー設計

 SnapGene(完成予想図から設計)

 

 DNA 量  不明(各 2-10 ng 前後)電気泳動結果から判断
 反応条件  50 ℃、30 分
 コンピテントセル  自作の DH5α
   
 【アプリケーション】

ノックアウトベクターを培養細胞に導入することで、目的遺伝子のノックアウト細胞を樹立しました。

   
 【工夫した点や想いなど】
4 断片でも難なく作り上げてくれるので、適当なベクターがあれば 1 ステップで色々なことができます。
   
 

image

   
image
【アッセンブル / クローニング 内容】

pX330 ( addgene #42230) に gRNA 配列を挿入するために、一本鎖オリゴを設計しました(図 3)。pX330 を BbsI で切断し、希釈した一本鎖オリゴとともに NEBuilder の反応をおこないました。

   
 
 アッセンブルした DNA

 8.5 kb ベクター + 69 bp ssDNA

 ベクターの調製方法  BbsI で切断
 インサートの調製方法  合成
 相同配列の長さ  20 bp
 プライマー設計

 SnapGene(完成予想図から設計)

 DNA 量  25 ng : 約 20 ng
 反応条件  50 ℃、30 分
 コンピテントセル  自作の DH5α
   
 【アプリケーション】

ノックアウトベクターを培養細胞に導入することで、目的遺伝子のノックアウト細胞を樹立しました。

   
 【工夫した点や想いなど】

一本鎖オリゴでもベクターに組み込めてしまうのはすごいです。pX330 は、培養細胞で CRISPR/Cas9 システムを動かすために最も利用されている発現ベクターです。pX330 へ gRNA 配列の組み込みは、オリゴを順鎖、逆鎖と二本発注後、ハイブリダイズさせたあとにライゲーションさせる方法が一般的かと思います。しかし、上記の方法なら、届いたオリゴを希釈するだけでいいので、ハイブリダイズさせる手間がいりません。また、一本の発注でいいので、二本保存するよりも保存箱を圧迫しません。欠点は、オリゴの納品に少し時間が必要かもしれないのと、ちょっとだけ割高になることでしょうか。

 

また、NEBuilder 溶液はおそらく形質転換を阻害するので、形質転換効率の低い自作のコンピテントセルを使用すると、生えるコロニーが一気に下がります(たぶん)。その場合は、DNA を精製するか、コンピテントセルを作り直す必要があります。

   

image

   
   
image
   
   
 

 

ご質問は弊社テクニカルサポートまでお問い合わせください。
製品に関するお問い合わせ