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NEBNext ARTIC Kits の新プライマー追加のお知らせ
2021 年 10 月 27 日
 

新型コロナウイルスの新しい変異株の出現と拡大に対応すべく、NEB はより確実かつ正確な検出と変異同定ができる全ゲノム解析用のプライマーを開発しています。今回、デルタ株を含む新変異株に対応できる「VarSkip Short Primers」の開発に成功、これを既存の NEBNext ARTIC kits の構成品として新しく加えることとしました。

 

【対象製品】

NEBNext ARTIC SARS-CoV-2 Companion Kit (Oxford Nanopore Technologies) (製品番号:E7660S/L)

NEBNext ARTIC SARS-CoV-2 FS Library Prep Kit (Illumina) (製品番号:E7658S/L)

NEBNext ARTIC SARS-CoV-2 RT-PCR Module (製品番号:E7626S/L)

* NEBNext ARTIC SARS-CoV-2 Library Prep Kit (Illumina®) (製品番号:E7650S/L) は対象外

* 製品マニュアルが更新、各製品ページ内の「プロトコール」からダウンロード可能

 

【変更内容】

・VarSkip Short Primers を新しく追加

既存の ARTIC v3 Primers もそのまま構成品として提供、どちらかを選択してライブラリー調製が可能

希望小売価格とサイズに変更なし

 
 
【変更日時】

2021 年 10 月 27 日出荷分より、VarSkip Short Primers が追加されたキットを出荷

 * 新仕様製品は、キットボックスに案内ラベルが貼付

 
 
【VarSkip Shor Primer について】

シーケンス検証済み変異株:

・B.1.351 (Beta)

・P.1. (Gamma)

・B1.617.1 (Kappa)

・B.1.617.2 (Delta)

・B.1.617.3

・non-variant

 
 
図 1、デルタ株の全ゲノム解析のカバレッジが向上 (イルミナシーケンサー)

image

NCBI のマサチューセッツ COV-19 B.1.617.2 (Delta) のコンセンサス配列に対して、既存の NEBNext ARTIC (v3) と新しく追加された VarSkip SHort プライマーはそれぞれ 2,613 と 1,319 個の領域に対応する (SRA デザイン領域、NEB_VarSkip_v1 = VarSkip Short、他は ARTIC V3)。得られたリードを NC_045512.2 リファレンスにアライメント (minimap2、minimap2 -x asm5)、IGV で可視化した結果、VarSkip プライマーの増幅産物は v3 プライマーに比べてリード未取得領域が少なかった。

[NCBI virus link to data]

 
 
図 2、各変異株のゲノムカバレッジが向上 (イルミナシーケンサー)

image

 

VarSkip Short プライマーを用いて新型コロナウイルスのゲノムライブラリーを調製・シーケンスしてゲノムカバレッジを視覚化した結果、デルタ株を含む各変異株のいずれも NEBNext ARTIC SARS-CoV-2 Primer (v3) よりも VarSkip Short Primer のほうがゲノムカバレッジが高いことが示された。実験の概要は以下のとおり:

 

・インプット:1,000 コピーの標準ウイルスゲノム  (ATCC VR-1986) あるいは各変異株 (Twist Synthetic SARS-CoV-2 RNA Control 16, 17, 18, and 23)。これらに 100 ng Universal Human Reference RNA (ThermoFisher QS0639) を混合したもの

 

・cDNA 合成:既存の NEBNext ARTIC v3 プライマーもしくは新しい VarSkip Short プライマーで cDNA を合成・増幅

 

・ライブラリー調製:NEBNext ARTIC SARS-CoV-2 FS Library Prep Kit (Illumina) でイルミナ用ライブラリーを調製

 

・シーケンス:MiSeq で 2x75 bp でシーケンス

 

・解析:塩基当たりの Coverage depth を決定、リード数をダウンサンプルして (seqtk)、SARS-CoV-2 reference genome (NCBI, NC_045512) でアライメント (Bowtie2)。カバレッジを視覚化 (Integrative Genome Viewer visualization)

 

メモ:Twist Synthetic SARS-CoV-2 RNA Control は 6 つの 5 kb ssRNA 断片から構成されている (オーバーラップなし)。異なる断片にまたがるプライマーペアはその部分を増幅しないため、上記の IGV 視覚化ではゲノム上の 5 kb 毎に部分的にギャップが生じている。実際のサンプルからライブラリー調製をする場合、この領域も増幅・シーケンスされる。

 

 
 

図 3、各変異株のゲノムカバレッジが向上 (Nanopore シーケンサー)

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VarSkip Short プライマーを用いて新型コロナウイルスのゲノムライブラリーを調製・シーケンスしてゲノムカバレッジを視覚化した結果、デルタ株を含む各変異株のいずれもゲノムカバレッジが高いことが示された。実験の概要は以下のとおり:

 

・インプット:1,000 コピーの標準ウイルスゲノム  (ATCC VR-1986) あるいは各変異株 (Twist Synthetic SARS-CoV-2 RNA Control 16, 17, 18, and 23)。これらに 100 ng Universal Human Reference RNA (ThermoFisher QS0639) を混合したもの

 

・cDNA 合成:VarSkip Short プライマーで cDNA を合成・増幅

 

・ライブラリー調製:NEBNext ARTIC SARS-CoV-2 Companion Kit (Oxford Nanopore Technologies) 、Oxford Nanopore Technologies Native Barcoding Expansion kits 1-12 (EXP-NBD104)、13-24 (EXP-NBD114)、Ligation Sequencing Kit (SQK-LSK109)、SFB Expansion Kit (EXP-SFB001)でライブラリー調製

 

・シーケンス:GridION(R9.4.1 flow cells)でシーケンス

 

・解析:18,500 リードを SARS-CoV-2 Wuhan-Hu-1 リファレンスにマッピング (Minimap2)、カバレッジを視覚化 (Integrative Genome Viewer visualization)

 

メモ:Twist Synthetic SARS-CoV-2 RNA Control は 6 つの 5 kb ssRNA 断片から構成されている (オーバーラップなし)。異なる断片にまたがるプライマーペアはその部分を増幅しないため、上記の IGV 視覚化ではゲノム上の 5 kb 毎に部分的にギャップが生じている。実際のサンプルからライブラリー調製をする場合、この領域も増幅・シーケンスされる。

 

 
 
【FAQ(よくあるお問合せ)】
Q1.  VarSkip Short Primer とは何ですか?
 

新型コロナウイルスのさらなる変異株のゲノム解析のために、新しく開発された cDNA 増幅用のプライマーです。ウイルス RNA ゲノムを逆転写した後、PCR で増幅、約 550 bp の cDNA を取得してライブラリー調製を行います。

なお、既存の NEBNext ARTIC v3 プライマーは hCoV-2019/nCoV-2019 Version 3 と同じ配列でプライマーバランスを最適化したものであり、約 400 bp の cDNA を増幅します。

   
Q2.  今まで NEBNext ARTIC v3 プライマーを使ってきましたが、新しいキットからはつかえなくなるのですか?
 

いいえ、ご使用いただけます。キットには既存の NEBNext ARTIC v3 と新しい VarSkip Short プライマーの両方が別チューブで含まれていますので、目的に合わせてお好きな方をご選択、ご使用ください。また、各プライマーに対応したプロトコールもマニュアル上に記載しています。

   
Q3.  既存の NEBNext ARTIC v3 と VarSkip Short プライマーを同時に使うことはできますか?
  できません。必ずどちらか一方をご使用ください。
   
Q4.  NEBNext ARTIC SARS-CoV-2 Library Prep Kit (NEB#E7650S/L) には VarSkip Short Primer は付属しないのですか?
 

はい、付属していません。VarSkip Primer は約 550 bp の cDNA を合成・増幅します。これをシーケンスするためには MiSeq の 2 x 300 サイクルシーケンスが必要であり、キット推奨の 2 x 250 bp では中央にリードギャップを生じるため、あえて VarSkip Primer を付属していません。もしご興味があれば、テクニカルサポートまでご連絡ください。 

   
Q5.  VarSkip Short プライマーの配列情報は公開されていますか?
 

はい、以下に公開をしています。

・VarSkip Short:https://github.com/nebiolabs/VarSkip

・NEBNext ARTIC v3:https://github.com/joshquick/artic-ncov2019/blob/master/primer_schemes/nCoV-2019/V3/nCoV-2019.tsv

   
Q6.  VarSkip Short プライマーを使用して取得したシーケンスデータはどのように解析すればよいのでしょうか?
 

以下にシーケンス解析パイプラインを公開していますので、これをご参照ください。

https://github.com/nebiolabs/VarSkip

 

 
本件に関するご質問は下記テクニカルサポートまでお問合せください。
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